シャドーイングの正解はこれだ!

シャドディク

英語学習を頑張っている中で
リスニングが苦手だから伸ばしたい。

でも、

「シャドーイングを続けているのに、
 リスニングが全然伸びない」


「スクリプトを見れば分かるけど
 ノーヒントにネイティブ英語は理解不能」


そんな壁にぶつかっていませんか。

特に、B1レベルで停滞している人は
リスニングを伸ばすために、
とりあえずシャドーイングを
「とにかく音を真似する練習」
だと思って続けがちです。

でも、正直に言います。

ただ意味を考えずに音をなぞるだけの
シャドーイングの効果はほぼゼロ。


むしろ、
間違った音の出し方のクセがつく
リスクさえあります。

だからこそ今回は、
Masaが実践してきた
「正しいシャドーイング方法」を、
学術研究の裏づけとともに整理します。

そもそも、シャドーイングは「いきなりやる練習」ではない

まず、知っておいて
ほしいことがあります。

リスニングには、
ボトムアップ処理
(音を音として正確に拾う働き)と、
トップダウン処理
(文脈や知識から意味を予測する働き)
があり、この2つは並行して動いています。

その中で、
多くの日本人学習者に足りないのが、
ボトムアップの土台、
つまり「音の解析力」す。

ある研究では、
第二言語(L2)学習者の
リスニング困難の多くが、
音声を正しく単語に切り分けられない
ことに由来すると指摘しています。

つまり、字幕ありで英語を聞くなどの
「意味を考えて聞く」練習ばかりだと
分かった気にはなれますが、

字幕なしの音声だけの
リスニング練習をやった途端、
急に聞き取れなくなってがっかりする。

これは、
意味が分からないのではなく、
その前段階の「音解析」から崩れてる
可能性が高いんです。

実は、シャドーイングは本来、
この音の解析力がある程度できてから、
音と意味を統合するために行う練習

なんでです。

正しいシャドーイングとは「シャドーイングだけをしない」こと

では、
シャドーイングの正解は何か。

それは。皮肉にも
最初にシャドーイングしない
ことなんです。

まず「音を正確に拾う練習」をして、
そのあとで「意味とつなげる練習」
つまりシャドーイングに進む。

Masa式では、
次に紹介する7ステップで進めます。

1〜4が音を固めるフェーズ、
5〜7が意味と統合するフェーズです。

ステップ1|何も見ずにリピーティング

最初にやることは
リピーティングです。

このリピーティングでは、
1フレーズを聞き終えたら、
聞こえた通りに真似してみます。

ここでは意味を考えません。
音だけに全集中します。

意味を分かってから真似る
のではなく、
音として聞こえたものを
そのまま口に出す。


これが、
音の解析力を鍛える第一歩です。

ステップ2|IPA(音声記号)でディクテーション

次にディクテーションです。

ただし、通常のディクテーション
とは目的がまったく違います。

通常のディクテーションでは
聞こえた単語を書きとります。
つまり、意味を文字に起こす。

しかし、Masa式では
1フレーズを聞き終えたら、
聞こえた音をIPAで書き取ります。

IPAが分からなければ、
カタカナでもOKです。

とにかく、このタスクの本質は
純粋な音を文字に起こすこと。

通常のディクテーションでは
知らない単語があったり
音が思ってたのと違ったりしたとき、
それっぽい単語で代用することがある。

つまり、音源の純粋な音からではなく
頭の中にあって、かつ、意味を知ってる
「それっぽい音」を勝手に当てはめて
意味を理解しようとしている
のです。

これではボトムアップ処理を鍛える
ことができません。

「知ってる単語だから分かる」ではなく、
「音として正確に取れるか」を見極める

必要があるんです。

この音ディクテーションでも
もちろん、意味は一切考えず、
音だけを拾い切れる限界まで
やります。

ステップ3|セリフとIPAを確認する

ここで初めて
知覚した音が合っていたか
の答え合わせです。

1フレーズのスクリプトを確認し、
できればIPAも確認します。

ただし、知らない単語があっても、
まだ意味は調べません。

そして、ここで大事な注意点。

「知らない単語があったから
 音が分からなかった」


と考えるのは、やめてください。

それは、
「意味から音を推測している」
クセが残っているサイン。

このフェーズでは、
あえて意味の手がかりを遮断して、
音の力だけで聞く練習をしている
ことを忘れないようにしてください。

ステップ4|スクリプトを見ながらリピーティング+録音

今度は、
スクリプト(またはIPA)
を見ながらリピーティング
します。

音声が速ければ、
0.5倍速から始めて大丈夫です。

そして、自分の声を録音する
お手本と比較して、
どこが違うかを確認しながら
修正していきます。

「自分の音とお手本を照合する」作業は、
音の解析力を上げる効果を支える
重要な学術的な仕組みです。

自分の声を聞きたくない…

と思われる気持ちも分かりますし、
Masaもこれが一番嫌でしたが、
どうか飛ばさずにやってください。

ただ音をなぞるだけではなく、
客観的に比べることで
初めて改善が起こります。

ステップ5|意味を確認する

音のフェーズが終わったので、
ようやく意味の確認です。

知らない単語や文法を調べて、
フレーズ全体の意味をつかみます。

ここで初めて、
「この音はこういう意味だったのか」
という照合ができます。

みなさんはこの意味理解を
かなり手前でやっていたはずです。
しかし、その段階では音理解が
明らかに中途半端
の状態だった。

ですが、
音の解析が完了済みとなった
このタイミングでやることで
音と意味が統合されるのです。

ステップ6|スクリプトを見ながらシャドーイング

ここで、いわゆる
従来のシャドーイングに入ります。

音声に続いて、
スクリプト(またはIPA)
を見ながら発話する。

このとき、
そのセリフが使われている
場面を意識して、感情を乗せる
のがポイントです。

機械的な音のコピーではなく、
「その場で言っている感じ」
を再現することで、
実際の会話につながりやすくなります。

ステップ7|何も見ずにシャドーイング

最後は、
音声だけをヒントに
シャドーイング
します。

ここでも、場面と感情を意識する。
これで、
音 → 意味 → 場面・感情
が一つにつながった状態になります。

効果があるのは「音が今の弱点」になっている人

このMasa式シャドーイングで、
1つ大事な留保があります。

言語学の研究では、
シャドーイングによる理解力の伸びは、
低〜中習熟者で最も明確
だと報告されています。

つまり、自然な速さの英語を
難なく解析できる人には、
リスニング面でのリターンは
小さくなりやすい。

逆に、
「速い英語になると聞こえない」
「字幕なしでは理解できない」

という人ほど、
この7ステップは刺さります。

全員が常に全部やる必要はなく、
今の自分のボトルネックが
「音」にある人ほど
実践してほしいです。

まとめ|シャドーイングは「順番」を変えるだけで化ける

正しいシャドーイング方法とは
「いきなり真似る」のではなく、
「音を分解してから、意味と統合する」
ということです。

7ステップをもう一度まとめます。

  1. 何も見ずリピーティング
  2. IPAでディクテーション
  3. セリフとIPAを確認
  4. 文字を見ながらリピーティング+録音
  5. 意味を確認
  6. 文字を見ながらシャドーイング
  7. 何も見ずにシャドーイング

もし今のあなたが、
「シャドーイングをやってけど伸びない」
と感じているなら、


やっている回数ではなく、
手順を見直してみてください。

同じ教材でも、順番が変わるだけで、
学びの質はまったく違ってきます。

音が取れるようになると、
リスニングは本当に楽になります。

そしてそれは、スピーキングの
自信にもつながっていきます!

参考文献

  • Kadota, S. (2007). 『シャドーイングと音読の科学』コスモピア.
  • Kadota, S. (2019). Shadowing as a Practice in Second Language Acquisition: Connecting Inputs and Outputs. Routledge.
  • Hamada, Y. (2016). Shadowing: Who benefits and how? Language Teaching Research, 20(1), 35–52.
  • Field, J. (2003). Promoting perception: Lexical segmentation in L2 listening. ELT Journal, 57(4), 325–334.
  • Field, J. (2004). An insight into listeners’ problems: Too much bottom-up or too much top-down? System, 32(3), 363–377.
  • Field, J. (2008). Listening in the Language Classroom. Cambridge University Press.
  • Vandergrift, L., & Goh, C. C. M. (2012). Teaching and Learning Second Language Listening: Metacognition in Action. Routledge.
  • Baddeley, A. (2003). Working memory: Looking back and looking forward. Nature Reviews Neuroscience, 4(10), 829–839.